第12話

「ごはん食べていくでしょ」


 姫宮さんあはそう言って僕を引き留める。


「いいの?」

「簡単な物しか作れないけどね。パスタでいい?」

「手伝うよ」


 というわけで夕食をお呼ばれすることに。姫宮さんは一階に下りると、キッチンへ向かう。

 棚からパスタを取り出すと、お湯を沸かし始めた。お湯が沸騰すると塩を入れ、かき混ぜる。

 パスタをばらしながら入れ、混ぜていく。僕はお皿とかを用意して場を繋ぐことしかできない。

 時間通りにゆで上がると、水気を切る。市販のたらこそーすを絡めて完成。


「パスタって一人暮らしするようになったら必須だよね」

「そうだね。男でも簡単に作れるし」


 そう言ってお皿に盛りつけながら、姫宮さんが笑う。完成したパスタをテーブルに並べて、僕と姫宮さんは正面に座った。


「いただきます」


 フォークを手に取りパスタを絡めようとするが、不器用な僕は上手くできない。それを見た姫宮さんがくすくすと笑った。


「つい最近同じ光景を見たわ。ゼロもフォークが上手く使えなかったの」

「そうなんだ」


 僕は冷や汗が流れるのを感じる。ゼロとつながる要素はできるだけ出さないようにしないと。僕は必死でフォークを使って食べようとするが上手くいかない。それを見かねた姫宮さんがお箸を出してくれた。


「こっちのほうがいいでしょ」

「ごめん。ありがとう」


 僕は素直にお箸を受け取ると、パスタを啜った。


「うん、美味しい」

「それは良かったわ」


 たらこソースが絶妙に絡まり合い、口の中で蕩けていく。お腹が空いていたので、正直このパスタはありがたかった。

 姫宮さんと一緒にパスタをたいらげると、食べ終わった食器をシンクに運ぶ。


「洗い物は僕がやるよ」

「いいの?」

「うん、美味しいパスタを作ってくれたお礼」


 僕はそう言うと手早く洗い物を済ませる。スポンジに洗剤をふりかけ、泡立ててから食器を擦る。僕の力だと皿の汚れはすぐに落ちた。そうして水洗いで洗剤を洗い流すと食器乾燥機に並べていく。


「おおー、手際がいいね」


 僕の皿洗いを見守っていた姫宮さんが感嘆の声を上げる。


「ありがとう。助かったわ」

「どういたしまして。それじゃ僕はそろそろ帰るよ」


 そう言って玄関へと向かう。

 

「今日は楽しかった」

「また来てね」

「うん、またお邪魔させてもらうよ」


 そう姫宮さんに別れを告げて家を出る。外は少し肌寒く、秘は傾いてた。僕は少し身震いしながら帰路に就く。少しパトロールでもして帰ろうか。そんなことを考えながら夜道を歩くのだった。


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