第32話
そこでサンドラは、今まで私が知らなかった秘密を教えてくれたのです。
私には妹がいたということを、です。
私は一人で生まれたのではなく、ふたりで生まれて来たのだそうです。
ここには、『女性の双子は不幸を招く』と言う古い言い伝えがありました。
しかも、側室とはいえ、王家にそんなことがあっては絶対にいけないのです。
それゆえ、私の妹は、シャキアという名前を授けられてすぐに、秘密裏にここと繋がった世界に送られて行き、その事実は、国王さえ知らないとのことでした。
「ほ、本当に私に妹が!?
妹をここへ呼ぶことが出来るのですか?」
「はい、可能です。
ただ、異界の門を動かすには大量のロゼッタ石が必要とのことです。
私は門の存在は知っておりますが、そのあたりのことについては、学者たちに訊かれた方が良いと思います。
異界の門は魔法とは性質の異なるものですから。」
「妹が…私に妹が……」
私は、自分に妹がいたということがすぐには信じられず、さらに、妹が異界に送られていたこともとても衝撃的なことでした。
言ってみれば、妹は、私やこの国の犠牲になったのです。
異界がどんな所かは知りませんが、もしかしたら大変な苦労をしたかもしれません。
そんな妹をまたこちらに呼び戻すなんて、あまりにも身勝手なことではないかと思いましたが、でも、そうする以外に、我が国を救う手立てもないように思いました。
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