第5話

こっそりとロープをくぐった私は、中庭の入り口で目の前の景観に息を飲んだ。見上げる空は枝を広げた桜の花に囲まれ薄いピンク一色。

足下も散った花びらが敷き詰められて淡いピンクに染まっている。

そして薄いピンクの空から、

優しい微風に乗ってひらりひらりと

気紛れに花びらが舞い降りる。

その景色はあまりにも儚げで美しい。


声もなく桜に見とれてた私は、立ち入り禁止のロープの事などすっかり忘れてゆっくりと中庭に足を踏み入れた。

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