決意
「え?どう言う事?」
いつものように出社した俺だったが、その日は明らかにいつもと違っていた。
◇ーーーーーーーーーーーーーーー◇
告示書
某企業は、上層部が横領を行ってい
た事が発覚し、本日をもって倒産い
たします。
社員一同には、ご迷惑をお掛けする
ことを深くお詫びします。
◇ーーーーーーーーーーーーーーー◇
冗談じゃねえよ…。
横領…?
なにやってんだようちの上層部はよ!
こうして一夜にして俺は何の前触れもなく無職になった…。
冗談じゃねえよ…。
俺はトボトボと家への帰り道を歩いていた。
情けねえよな…。
まだ午前中だってのに、良い歳をしたおっさんが明るい内に仕事もせずにいるなんて…。
今帰ってもどうせ暇になるだけだし、公園で時間潰すか…。
そう思って俺は近くの公園のベンチに腰かけた。
明らかに周囲の視線が俺に向いているのが分かる…。
そりゃそうだろ…。
中年のおっさんの俺がこんな時間に仕事もせずに公園でだらけてるんだからな…。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『怪獣警報発令!!怪獣警報発令!!外にいる人は直ちに近くの・・・』
俺が公園でだらけてから数分後の事だった。
怪獣警報なるものが町の全部のスピーカーから響き渡ってきた。
俺はとにかく焦って避難しようとした。
その時だった。
「え?」
俺のすぐ目の前にでかい怪獣が現れた。
「あ、あはは、あはははははははははは…」
何だろう?
涙が出てきた。
もう、逃げられないからか?
いや違う…。
これは…。
子供の頃から今に至るまでの記憶が蘇ってくるよ…。
CRATZに入りたいって思っていた幼稚園時代。
希望に満ちていた為にちょっとずつ体力に努力を付けようとした小学生時代。
「お前みたいな奴にCRATZなんか無理だ」と虐められた中学生時代…。
ついにはぼっちと化して引きこもるようになった高校時代…。
CRATZの入隊試験に落ちたけどなんとか入れた企業で、同期や若手に差をつけられて孤立した社会人時代である"今"…。
今思うと…。
俺、落ちるところまで落ちちまったな…。
もういいか…。
「喰えよ!喰えば良いだろ!!どうせ俺がいなくなったって、泣いてくれる奴なんていねえんだよ!!」
俺は自暴自棄になってその場で寝転んだ…。
もう疲れたよ…。
そう思って死を覚悟した。
だが…。
1体のでかい人型の何かが俺を助けてくれた。
俺は一目見て理解した。
"
CRATZが俺を助けてくれた。
そしてそのCRATZの、操る巨大ロボット"
俺はCRATZの隊員に誘導されて避難できた。
CRATZにお礼を言って俺は無事に家に帰れた。
「まさか、CRATZに助けられるなんて…」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
5歳の頃、俺はCRATZに助けられた事があった。
巨大な怪獣に襲われそうになり、それをCRATZの神工騎士に助けられたんだ。
その時からだっかな?
CRATZに入りたいって思ったのは…。
「もう一度、やってみるか?」
もう一度、CRATZに挑戦してみるか!
もう会社は無くなったんだし、
こんな俺でも、まだ行けるかな?
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