プロローグ

第1話

『めでたしめでたし』


 そう締め括られる絵本の物語が好きだった。


 一冊の本を二人で覗き込んだ日々は、もう遠い昔。


 ただ無邪気に、物事の裏表も知らず、幸せを信じていたあの頃。


 あれから、数年の時が過ぎた。


 草臥れた絵本を開き、今胸に過ぎるのは苦い虚しさ。


 身分違いの恋は、本当に幸せ?


 誰かを殺して得た平和は、本当に嬉しい?


 人の心に、永遠はあり得る?


――好意、憧れ、妬み、憎悪。


 現実の厳しさを、人間の醜さを、人の世の難しさを知った私の心は、


 色褪せた絵本と同じようにくすんでしまったのか。


 それとも、色を重ねすぎてしまったのか。


 ねぇ、瑠璃?


 隣に居るのが当たり前だった私たちは、いつからこんなに遠く離れてしまったのかな・・・


 優しく終る物語をそのままに信じ


 鮮やかな絵本を前に


 顔を寄せ合っていたあの日々が


 確かにあったと知っているから


 甘く愚かだと思っていても


 私はまだ 心のどこかで

 妹である貴女を

 見放せないでいるのかな。


 ハッピーエンドで終る、物語のように。

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