再会レイヴン

第24話

『お久しぶりです。ナラナラさん。それで、こちらの方々は?』


「どうもレイヴンさん。この人たちは私のパーティメンバーです」


『ああ、そういうことですか。どうぞどうぞ!こちらに来てください!』


 レイヴンさんの星に着いた直後、最初の時と同じようにレイヴンさんが出迎えてくれた。そしてある程度事情を話すと彼は快く招き入れてくれた。


 それから中で再度これからについてしっかり話し合う事に。


「これって元はと言えばナラナラが起こしたことよね」


「開始早々私の心を抉ってくるような事実言ってこないでくださいよ、筑和さん」


「でも事実じゃない」


「むぅ」


「そうだな。と言うか、ここに来る前からずっとQaQaさんは黙っているが、なんか言ったらどうなんだ?」


「あ、ああすみません。少し考え事をしていたんです」


「にしては長すぎないか?一体何を考えてたんだ?」


 するとQaQaさんは自分のスクリーンを共有してきた。そこにあったのは、


「公式サイト?これってあれですか?アプデとかの情報が載ってる?」


「そうです。それで色々調べてみたんですけど、どうやら明日のアプデで全プレイヤーに“エーテル機構”を配布するらしいんですよ」


「ああ。そうですか」


 別に普通の事じゃない。何で今そんなことを?


「おかしいのですよ。運営がわざわざこんなことをするなんて。これ、恐らくですけど運営側もナラナラさんの進度に度肝を抜かれているのかもしれないですね。このエーテル機構、実はつい最近のアプデから追加されたアイテムなんです」


「……へ?」


「なのでこの鉄船を今作れているのはおかしいのですよ。それに、この星についてもです」


「この星、ですか?」


「鉄船よりも下のランクの船では耐久値の問題からスターリラのすぐ近くにある“セスタ”と“サランべ”の二つしか行けませんでした。それがまさか、それよりも先のこの星に来てしまっている。もしかすると何かしらの措置が運営からくるかもしれません」


「そんなまさか……」


 え、まさか進みすぎだからちょっと止まれって言う事……?いやいやいや!?

 元はと言ったら私の初期スタート地がおかしかったのが始まりでしょ!?明らかに運営が悪いじゃない!


「なので、しばらくこの星に留まりましょうか」


「……え」



・¥・¥・¥・¥・



「はあっ!」


「そっち行った!」


「よっと」


 しばらくの間この星にいることになった私たちは取り敢えずレベリングなどをすることに。と言っても私はする必要なんて無いんだけど、一応の保険という事で同行している。


 ここのエネミー、彼らのレベルだと正直倒せるかどうか不安だったけど、それは杞憂だった。


「お、レベル上がった」


「私も~」


「俺はレベル12になったぜ」


 はあ。もう戻って船の改造をしたいんだけどなぁ。もうこの際新しい船でも作ろうかしら。

 だって素材はある程度残ってるし、エーテル機構だってかなり残ってる。


 チュートリアルの星に戻れないかな。戻れたら戻ってまた狩りたい。

 あんなにクソ犬共を嫌悪していたのに今は懐かしさすら覚える。


『クゥン?』


「ん?何でもないよ」


 まだやりたいようにはできないけど、皆のレベルが上がればきっとこの宇宙を大暴れできるはず。私の代わりにみんながするんだけどね。


 それに今気になっていることと言えばこの星で見た、あの街だ。一度この星を離れた後でもう一度思い返すと、少しだけ妙な部分があった。


 それはあの街の作りだ。まるで何かを避けているようにぽっかりとそこだけ建物が建っていない箇所があった。

 もしかすると、この樹海にはまだ私が調べ上げられていない未知のものがあるのかもしれない。


 人は未知のものを恐れ、望む。それは相対している感情のように思えるが実際同じようなものだと昔大学の授業中に友達から聞いた。麻雀ゲームをしながら。

 案の定それが教授にバレて結局友達はその授業を落単していたけど。


 なんでそんな事を今更思い出したかと言えば、


「なあ、なんでこんなところに街が?」


「ああ、もうそこまで来たんですね」


「ナラナラさん。説明を」


「と言ってもなんもないですよ?この街から避難した人間の子孫が住んでいる街です」


「へぇ」


 そう言ってQaQaさんが興味深そうにその街を観察し、そして見つけた。


「あれはなんですか?」


「QaQaさん、なんか見つけたんすか?」


「飯さん、あれ見てください。後で共有マップにピンを立てときます」


「えっと……なんだ?あれ」


 そのピンが立てられたところは、不自然に何も建物が建っていない、円形の平地だった。

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