32 教団
「えーっと……何の事かなー?」
光が収まった夢羽は、私達から目を逸らしている。
光から出てきた夢羽は、少しだけ大きくなっている気がする。
「邪気を霊気へと浄化し、自らに取り込み力とする存在~。それが
アイリスが夢羽を見る目は、
「そ、そんな情報、どこから拾ってくるのよ!」
なぜか慌てている夢羽。
「代々受け継がれている伝承ですわ~」
代々?
「そういえば、私達が邪神教団でない事を証明できたら教えてくれるって言ってたよね? アイリスは何者?」
私がそう聞くと、アイリスはギザギザの歯を見せた。
「キキキ……
アイリスはいつもの黒い大剣をどこからか出して、それを床に刺してドヤ顔をした。
「そんなのがあったの……」
夢羽は少し驚いている様子。
私はエレベーターのボタンを押し、呼び出した。
すぐに開いたので、それに乗り込む。
夢羽とアイリスは、私を追ってエレベーターに乗る。
アイリスの剣は、手を離した瞬間どこかへ消えた。
「それで、
「そんなの決まってるじゃない~。邪教の妨害よ~」
アイリスはなぜか怒っている。
「妨害……。仮に、ここに霊神様が復活しているとしたら、邪神の復活はもう阻止しなくてもいいんじゃない?」
私は夢羽を見る。
夢羽は目を逸らす。
「そんな事ないわ〜。もし邪神まで復活して、霊神様と邪神が喧嘩を始めちゃったらどうするのよ〜。人間の私達では太刀打ちできないでしょ〜」
「神々の戦いね……」
私はまた夢羽を見る。
夢羽はなぜか声を出さずに笑っている。
「その為にも〜、邪神は復活させず、霊神様は教団の監視の下で過ごしてもらいますわ〜夢羽様!」
アイリスは夢羽を後ろから抱きしめ、
夢羽はそのタイミングにアイリスの力が抜けたので、逃げ出した。
「いやよそんなの! あたしには目的があるの!」
「キキキ……教団の私達がそれをサポートすると言っても〜?」
夢羽は首を横に振る。
「これは風羽にしかできない事よ。アイリスは残念だけどできないわ」
夢羽がそう言うと、アイリスは私を笑いながら
「じゃあ、私が風羽のチカラを奪って、夢羽様のお手伝いしますわ〜!」
アイリスはまた黒い大剣を出し、それで斬りかかってきた。
「ちょ! 普通、エレベーターの中で戦う!? ……うーん……やっぱりこうなったかー……」
私はエレベーターのガラスを割り、外へと飛び出した。
エレベーターはアイリスの大剣の攻撃により壊れ、下の階まで落ちていった。
夢羽も私にしがみついて、ちゃんとついてきている。
無重力の星なので、そのまま下へゆっくりと泳いで降りる。
「キキキ……風羽……夢羽様をこちらに〜!」
アイリスもエレベーターから出てきて追いかけてくる。
「追いかけてきてるわよ!?」
「わかってるよ……」
私はベルトの手榴弾を引き抜き、それをその場に置いた。
「キキキ!」
アイリスはその手榴弾を大剣の広い部分で叩き、弾き飛ばした。
手榴弾はすぐに爆発し、アイリスはそれに巻き込まれたように見えた。
「よし、今のうちに……」
「逃がしませんわ~!」
爆発を大剣で防いだようで、アイリスは傷1つ負っていない。
爆風で降下速度が上がったのか、すぐに地面に着地することができた。
アイリスも私との距離を保ちながら着地する。
「休戦協定は破棄ね~。夢羽様は敵ではないですが、風羽はお邪魔虫よ~!」
アイリスは大剣を大きく振りかぶる。
そしてそれを地面に叩きつけた。
地面の雲はその衝撃で
私はすぐさま銃とナイフをホルスターから抜き、その衝撃で飛んでくる破片をナイフで弾いたり、銃で撃ち落としたりして回避した。
「おや? おやおや? おやおやおや?」
突然、路地の方から白衣を着た長身の人が現れ、何かぶつぶつと言っている。
遠すぎてこちらには聞こえない。
その長身の人は、カバンから何かを取り出して地面に置き始めた。
その置いた物は自分で勝手に動き始め、白衣の人の足元に集まり始めた。
「うわ!? あれってネズミだよね?」
「そんな感じに見えるけど、あれ全部ロボットっぽいよ」
近づいてきた1体のネズミに撃つと、破裂して中の部品が散乱した。
「キキキ! ……お前は邪教の!」
アイリスは黒い短剣を白衣の人に投げた。
「ヒヒヒ! 霊教の団長さんですね。抹殺命令が教祖様より下っております。ということで、さようならですよ……ヒヒヒ!」
カバンから別の大きなネズミを出し、そのネズミは口から機関銃を出してきた。
そして、乱射し始めた。投げられた短剣は銃弾の雨に弾かれる。
「キキキ!」
アイリスは大剣でそれを防ぐ。
そして、大剣で叩きつけた。
「貴方は軍部の部長さんもいらっしゃるようで……思わぬ収穫ですねー……ヒヒヒ!」
白衣の人は、自分のカバンをひっくり返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます