リデルガ①
【リデルガ】
「はあい!これが教科書ね!そしてこれが制服!」
サラサラの髪の毛をツインテールにし、一生懸命説明する吸血種の女の子。
目をキラキラさせ、それはもう楽しそうに話す彼女の姿に翼は圧倒されながらも話を聞く。
そして
おかしい、全く監禁されないと…。
てっきり監禁でもされて、何なら人体実験でもされるんじゃないかと思い覚悟をして来たのに、この有り様だ。
目の前でルンルンに説明してくる彼女。
なんだか穏やかな時間が流れて、拍子抜けだ。
しかもとんでもない大きな屋敷の一室に案内され内心ドキドキしていた。
「とりあえず…これくらいかなあ。まあ後は追々って感じで!欲しいものがあれば
そして彼女はニコッと笑う。
可愛らしい笑顔にやはり吸血種なんだなと実感する。彼女も彼女でとても綺麗な顔立ちだったからだ。
「あ!私自己紹介まだだったね!私は
「…よろしく…」
「今日から
「…そうなの…?」
「ちょっとおおお!何も説明してないわけ?説明くらいしなさいよ!!」
「…うるさっ」
「なんって言ったあああ!?」
その二人のやり取りを見て仲がいいんだなあと
二人が言い合いをしている間に
「ああ、もううるさい。いくよ
「…え」
「ちょっと!荷物は!?」
机に並べられた
「後で、誰かに持ってくるように言って。じゃ」
「もおおお!」
ドアが閉まる瞬間、
一体どこに連れていくつもりなんだと
「…あの」
「…………」
「…ねえ」
「…………」
脚を止めて
「
「…ああ、うん」
呼べとでもいうような目線を向けてくる。
「
「うん、何?
「…私、これからどうすれ…ばいいの?なんで連れてこられたの…」
ずっと疑問に思っていた事をようやく聞いた。
「はあ…」
大きなため息をつく
「君はこれから、【学園】に通ってもらう。まだ18歳で未成年だしね。勉学は必要だ。もちろん、吸血種が通う学校だから安心して」
そう言って彼はまた歩き出す。
【リデルガ】の学校に通うのも驚きだが
「私、監禁されるんじゃないの…?」
「はぁ!?誰がそんなこと言ったの?」
「…いや、別に誰もそんな事言ってないけど…」
「ここは【リデルガ】だ、【リアゾン】じゃない。吸血種しかいない世界だ。監禁する意味も必要もないよ」
-じゃあ…
「普通に、生活していいの…?」
「そのつもりで連れてきたんだけど?」
そして、前を向きなおして廊下を歩いて行く。
ずっとずっと憧れていた。
‘‘普通‘‘に憧れて夢みてた。
こっちの世界でなら私は”普通”になれるのだろうか…。
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