序章 始まりの吸血種

何千年の彼方①

寒い日の事。

空には幾千の星たちが輝く。

その夜空を眺め、涙する者もまたこの地獄に落とされたひとりだ。


-ああ、どうか…


夜空に手を伸ばし叶わぬ願いを祈る。


-この世界に平和を…


その瞬間首筋に強烈な痛みがその少女を襲った。

温かいものが流れる…それが何なのか気づいた時にはもう少女の命は尽きようとしていた。


-赤い…赤い…


夜空を背にして、口元にベッタリと赤い血を付けた男がぽつりと涙を流す。


-どうして、泣いているの?


自分を襲った彼に同情してしまいそうになるくらい彼は辛そうな苦しそうな表情を浮かべる。


「……ごめん…なさい…っ」


その言葉を聞いて彼女は息を引き取った。


それはもう何千年も前の話だ。

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