雪幻の墓標
副島桜姫
序章
序章
「エフィ……エフィ……」
15歳ぐらいの少年が必死に少女を揺さぶっている。
少女は13歳ほどか。見た目よりもまず目につくのはその尋常ではない様子だ。
激しく呼吸を荒げ、それとは裏腹に力がない。
春の盛り、花の咲き乱れる湖のほとりで少年はただおろおろとしていた。
――と。
傍の茂みが音を立てた。
――大人たちが事ある度に言っていた。
「時々、子連れのバイロウが出るから、子供だけで歩いてはいけませんよ」
少年は咄嗟に持ってきていた木刀を掴む。
こんな時になって、こんなものでは何も守れなかったと気づく。
同時だった。
少年がそれが人間だと気づいたのと、その出てきた人間の顔面に少年が投げつけた木刀の切っ先がクリティカルヒットしたのとは。
――顔面を抑えて倒れる男の顔は整っていた。
――きっと、顔は自慢だったのだろう。
◇◆◇◆◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます