第2章 女王の玉座 第2話

見られた

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全部見られた


あてがわれた異国の服を身に纏い、ガックリうなだれてナムタルと名乗った男の後ろを、なるべく離れて歩く。


「そんなに落ち込まなくて大丈夫よぉ。アンタもいつか、ちゃぁんと美しく立派なメスになれるわよ。」


やめろ!要らん!ウィンクすな!!


「あ、それにあたしメスに興味ないから。」


「とっくに察してます!」


メスに興味があろうがなかろうが、初対面の赤の他人に、生まれたてのありのままの姿をさらしてしまった衝撃。うぅっ、記憶から抹消したい!思わず顔を覆って低くうなだれる。


「だからぁ、あたしに言わせればね。あんな品のない服着るくらいなら、裸の方が…」


「ぎゃぁぁぁっ!もぉ、やめて!なんの慰めにもならないわ!忘れさせて!そして忘れて!」


「カカカ!アンタ本当に変わった子ね。」


豪快に天を仰いで笑うナムタル。目の前を歩くそんな彼の腰からは、黄金色の太くてしなやかな尻尾がニョロンと伸びている。そっちこそよっぽど変わってるじゃない、と心の中で毒づいた。


視線に気付いたのか、黄金色の太い尾をしならせて、先端の艶やかなふさふさの毛をなびかせてうっとりと笑う。


「ふふ。美しい尾でしょう。」


「…えぇ、まぁ。」


うん。今の状況がどうであれ、なんとしてもダンちゃんと一緒に元の世界に戻らなきゃ!


「さ、着いたわ。言っとくけどご主人様は容赦のないお方よ。特によそ者にはね。くれぐれも粗相のないように。」


そもそも、生まれた時から私の周りにはな常識的人間はほとんどいなかった。今さら一癖二癖ある人に驚きはしない。


目を閉じて大きくひとつ深呼吸をして、カッと目を開ける。


覚悟はできた!さぁ、どんとこい、ご主人様!!

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