第10話

「やめてやれ」

その声は社長さんだった。


「はぁ、誰だお前。」


「やめろと言ってるんだ。」と社長さんは、男の腕を掴んで、捻った。


「いっててて…」男達は逃げて行った。

「ほらっ」

社長さんは、座り込んでいる私に、手を差し出してくれた。

私は、その手を掴んだ。

力強い手だけど、温かかった。


泣き崩れている私に社長さんは何も言わず、一緒に歩いて、車に乗せて家まで送ってくれた。

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