第3話

「あ、朝から何言ってんのよっ!?この、エロ小学生っ」



会ってすぐにそんな事言われるなんて、思ってもみなくて。


思わず、顔が真っ赤になってしまった。



「遅れた由佳が悪いんだよ。さ、早く行こ?」



そう言って、彼は私に向けて右手を差し出してきた。


未だ照れている私の顔を見て、優しく微笑んでいる。



「うん……」



まだ、手を繋ぐって事に慣れていなくて。


恥ずかしさを隠せないまま、私はそっとその手を掴んだ。



「由佳を待ってる間に、俺…3人に声掛けられたよ」



重ねた手を彼は恋人繋ぎに変え、ゆっくりと歩き出す。



「声……?」



意味がよく分からなくて訊き返すと、彼は呆れた顔をして私を振り返った。



「ナ・ン・パ。分かる?お姉様達に声掛けられたの」



「な、ナンパ!?」



「そう。だから、早く来ないと俺…ついてっちゃうかもよ?」



そう言った彼の顔は、いたずらっ子の様な表情をしていて。


ふいに見せる彼の幼さに、いつもながらに思わずキュンとさせられる。

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