第3話

「今日は吉野さんと、新しくできたお店にランチ行くんですよ。主任も一緒に行きますか?」



私の右隣に座る岡田さんは、向かいに座る山下さんの方に体を乗り出して尋ねた。



新入社員の彼女は、すごく気さくな感じで。


すぐに課内のみんなに打ち解けて、すっかり馴染んでしまっていた。



私の2つ下で、山下さんのアシスタント的な仕事をしている。



「行きたいのはやまやまだけど、今日は部長に誘われてるからさ。また今度、良かったら誘ってよ」



残念そうな表情を浮かべ、山下さんは顔の前で手を合わせた。


山下さんとランチする事もそうそう無いから、一緒に行けたらよかったんだけど。



私と岡田さんも、ちょっと残念だった。



「じゃあ、また今度誘いますね」



岡田さんがそう言った時、昼休みを告げるチャイムが鳴り響いた。


うちの会社は、始業時・昼休み・終業時にチャイムが鳴るシステムになっている。



「さっ、じゃあランチ行っておいで」



山下さんのその声で、私と岡田さんは財布を持って席を立った。


軽く手を振る山下さんに頭を下げ、エレベーターへと向かう。

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