第17話

翌日、引っ越しトラックに荷物を詰め、玲蘭たちは朝比奈家へ。



朝比奈家は一軒家で、赤い屋根の大きなおうちだった。



志穂は目を輝かせた。




「可愛い!広い!最高じゃないですか!」


「本当、志穂、ゲンキンなんだから。」




玲蘭は荷物を運ぶ。



すると、玄関から伊織が出てきた。




「うぃっす!玲蘭、志穂。」



「お兄ちゃん。」



「運ぶよ。これ、玲蘭の部屋でいい?」




玲蘭、と呼ばれることに抵抗があるのか、玲蘭は内心ドキドキした。

自分の気持ちを唾と一緒に飲み込んで返事をした。



「うん、ありがとう!」



玲蘭ももう一つ箱を手に取り、後をついていく。



「はい。ここが玲蘭の部屋。」



7帖以上はありそうな洋室だった。

南向きのベランダにつながる窓もある。



いままで5帖の部屋に二段ベットを置いて2人で勉強机を共有していたのに、急に7帖以上の部屋になったから、逆に置くものがなくて、スカスカした部屋になりそうな気がした。



「あ、志穂はそっちなー。」



志穂の部屋からはしゃぐ声が聞こえてくる。



「家、広いね。」



「そうだな。広すぎて今までずっと寂しかったから家族が増えて嬉しいよ。今日からよろしくな。」




伊織はまた握手を求めてきた。



玲蘭も手を差し出すと、ぎゅっと伊織の温かい体温が伝わってきた。



玲蘭が微笑むと、伊織も微笑む。



そのあと、5人揃って、初めてご飯を食べようと言うことになるが、お台所がまだ片付けが終わっていないため、宅配ピザをとることになった。

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