コクワさんとヤモリさん

朝イチ、虫かごを覗くとコクワガタの姿が消えていた。

土の中に潜り込んでいるのは良くあるけど、大抵は頭隠して尻隠さず的に何処にいるかが分かりやすい。

毎回下手なかくれんぼをするはずのコクワなのに、今日は少しも姿が分からない。

虫かごを持ち上げて底から見上げても、一ミリもコクワの姿は確認できなかった。


まさか、ヤモリに食べられた……?


数日前の夜中、息子の部屋に出没したヤモリが放し飼いになっていた。


爬虫類嫌いな私は、ホントは捕まえて外に放ちたかったけど、押し入れの隙間に逃げてしまったから諦めるしかなかったのだ。


害虫を食ってくれるヤモリだから共存することにしたけれど、まさか我が家のヤモリはコクワを害虫と間違えて食べてしまったのだろうか……。


そんな疑惑に、身体中の毛穴がいつもの1.25倍ぐらいの感覚で開いた。


夕方、仕事から帰って虫かごを覗くと、コクワは頭ごとエサのゼリーにうずめて食事中だった。

溺れたりしないのかな。 

そんなにもガッツいてエサを食べるところ、かわいいじゃないか。


それに朝のかくれんぼは、かなりの上級者(上級虫)だった。


今朝はまんまとドッキリにハマってしまった私。


ところで我が家のヤモリは、今どこに潜んでいるんだろう……。


念の為、虫かごのフタの戸締りをした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る