第45話

「ど、どうするの、ハーパル…」




恐る恐るハーパルに尋ねるザン


それに対し、ハーパルはさっきまでの勢いのまま、目の前の扉を叩き出した


ドンドンドン!


ノックと言うには些か以上に大きな音が鳴る


いつもなら、こんな大きな音を出しただけでジェラルドに頭を叩かれていたハーパル


いつになっても学習しないのか と小さく飽きれながらも

直ぐに怒ってでてくるだろうジェラルドに備えて、ザンは扉から1歩下がる


が、ザンの予想を裏切り、ジェラルドは出て来なかった


出て来ずとも、「うるさい!」くらいの1言があっても良いものの、それすらもなかった


それにより、ザンの中で更なる不安が頭をもたげる


が、そんな事構わずにハーパルは扉を思いっきり叩き続ける




「ジェラルド!


出て来いよ!


一緒に遊ぼうぜ!


お前、1週間も顔見せてないだろ!」




そう叫びつつも、扉を叩き続けるハーパル


最初はぼんやり見ているだけのザンだったが、漸くハーパルの意図に気付き、それを真似する




「ジェラルド、一緒に遊ぼう!


ハーパルとの2人だけじゃ、つまらないよ!」


「な、なんだと!


ザンのくせに!!


それはこっちのセリフだし!」


「あ、ちょっとパクらないでよ!


ハーパルのくせに!」


「ザンの方がパクってんじゃねーかよ!


ばーか、ばーか!」


「ばかって言った方がばかだし!


ばーか!」


「あぁ!?


じゃぁ、ザンの方がばかって多く言ったから、ばかだろ!」




何故かいきなり話しが脱線して、珍しくケンカし始めたハーパルとザン


やりとりが幼稚なのは普段、いくら取り繕っていようとも

まだまだ5才の子供なのだから、しょうがないものなのだろう


そのまま2人でわいやいケンカしていると、扉が勢い良く開いた


そして続くジェラルドの怒声




「うるさい!!


お前ら、いい加減にしろよ!!


近所迷惑だ!!!」




その声と共に2人の頭上に落ちてきた拳


それに同時に、痛み故に小さく悲鳴をあげた2人

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