第20話
ティオナットはキョロキョロと辺りを見渡す
そんな仕草は見た目相応
それにニコラスの頬が少し緩んだ
「こっちにあるよ」
そう言ってニコラスは自分のボックスから制服と厚さはまちまちの本を何冊か取り出して机に置く
「はい、こっちが制服で、こっちは教科書
着替える時はそこの右の部屋使って良いから」
「分かった、ありがと」
ティオナットは礼を言い、教科書はボックスの中に入れて、制服を持ってニコラスに言われた部屋に入り、着替える
渡された制服は、ティオナットの体にちょうどフィットした
何故こんなにもフィットしているのか気になって、ティオナットは少し背筋が寒くなった
が、気のせいだろうと頭を振った
着替え終わると、さっきまで着ていた服をボックスの中に仕舞い、部屋を出る
それに気付いたニコラスはこちらを見て微笑んだ
「良く似合ってるよ、ティオナット
これから担任の先生がここに来るからそれまでそこのお茶とお菓子を食べながら待ってると良いよ」
その言葉に甘え、ティオナットは礼を言いソファーに座ると、お茶とお菓子をいただく
そのままのんびりしていると、誰かが理事長室の扉を2回ノックした
「…どうぞ」
「しつれーしまーす
理事長、何の用っすかー…って、こいつ誰?」
気怠げに入ってきた男性はティオナットを見てボサボサの髪の毛を掻きながら理事長に問う
「うん、ルーカス先生おはよう
その子は今日からルーカス先生のところの生徒になるティオナット・ブリクスト
ティオナット、こちらは今日から君の担任のルーカス・ヴェント先生だよー
じゃぁティオナット、ルーカス先生、行ってらっしゃーい」
そう言ってニコラスはまた書類に目を落とした
怠そうに、だが隙の無い出で立ちの彼、ルーカスはティオナットを見ると顎で扉を指し、理事長室を出て行く
ティオナットはニコラスの方に一応一礼してその後を追った
そして閉まった扉の奥でニコラスは呟いた
「さぁて、これからどうなるか楽しみだねぇ」
ニコラスのその呟きは誰に聞かれる事もなく、床に転がり落ちて消えた
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