第60話

「よし、風帝


これから掃除を始める


この建物中にギルド員では対処しきれない人数のゴロツキたちが大量にいる


それを私と風帝で片付ける」


「………


細かい人数は?」




風帝からの疑問に、氷帝は即座に魔力探知をして応える




「………ふむ、依頼書には千人弱程度と書いてあったが、ここには私たち以外に1653人いる様だ


Aランクに匹敵する魔力はその内の約1割、Bランクに匹敵する魔力は約2~3割程度だ


出来るだろう?」




さっきの数瞬の内に相手の魔力量まで探知、把握した氷帝は、口元に薄い笑みを張り付けて問う


風帝は氷帝のその力量に驚きつつ、好戦的に頷く




「……やってやろうじゃねぇか


氷帝より多く狩ってやるよ…!」




何故か風帝がいつも以上にやる気を出していたので、やりすぎないよう忠告をしておく




「……一応生きたまま捕らえてくる様にとの依頼だからな?


間違っても殺すなよ


この中に居る奴はいずれ働き手として使われるんだから


傷も付けるな」


「なっ!!?


難易度高過ぎねぇか!?


その人数なら殺しても1時間くらい掛かるってのに!


傷付けず捕らえろって、何時間掛かると思ってんだよ!?」




風帝が驚き、こうやって取り乱したのもしょうがないだろう


殺すだけなら簡単だが、生け捕りとなるとそう簡単にはいかない


相手も抵抗するために殺すだけよりも難易度が格段に上がる


しかも1653人を傷付けず捕らえるなど、帝である風帝でも何時間掛かるかわからないのだ


だが、それをやらなければならないのが帝である氷帝だ




「………


風帝、約束は違えるなよ


お前は私と取り引きした筈だ


私は転移して地下から捕らえて行くから、風帝はここ、最上階から捕らえろ


出来ぬなら去れ


そして取り引きは無効だ」


「っ!!!


………チッ、分かったよ、やってやるよ、 “カワイイ生徒” からの頼みだからな


無下に出来ねぇってのが教師だ、面倒くせぇっ」




そう言って風帝、ルーカスは結界の外へと駆け出した


氷帝、ティオナットは小さく笑い、2人を囲っていた結界のみを破棄し、ルーカスを見送ってから最下層の地下へと転移した


その後はほぼ蒼風の氷帝の無双で1時間もせずに終わったが…

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