第19話

言いたい事だけ告げて直ぐに切った念話


それは雷帝の念話と物凄く似ていた


どうやらティオナットは似なくて良い処を義父と似てしまったらしい


とても、残念な事だ


ティオナットは念話を一方的に切った後、箪笥から着替えを取り出してシャワーを浴びに風呂場へ向かった


シャワーを浴びてさっぱりしたティオナットは、小さく鼻歌を歌いながらあがってきた


その鼻歌はどこか懐かしく、少し物悲しいメロディーだった



いつ聞いたんだったっけ…?



ティオナットは小さく疑問に思う


この鼻歌に歌詞はない


いや、ただ覚えてないだけなのかもしれないが、雷帝に歌詞はどんなだったか尋ねた処、

そんな曲は初めて聞いたと言われ、他の帝達に尋ねたりもしたのだが、

やはりと言って良いのだろうか誰も知らなかった


誰も知らない曲を何故自分だけが知っていたのか、やはり疑問が残る処だ


が、ティオナットは深くは考えず、その思考を放棄した


分からない事はいくら考えても分からないものだ


思考から浮上したティオナットは備え付けの時計を見る


現時刻は15時半前


やはり、する事がない


ティオナットは迷子にならない様校内地図を頭の中に叩き込んで、寝た


明日から学校だ とか

クラスに上手く溶け込めるか とか


色々期待に胸を膨らます事も

これからの生活にちょっとした不安にオロオロする事も一切合財なく、いつも通り寝た


可愛げの全くない子供だった




そして翌朝、いつも通りに起きたティオナット


少し早めに支度をして7時半の1分前に理事長室へ転移した


ニコラスになるべく転移を使わない様に言われていたのにあっさりと使ってしまった


そして突然現れたティオナットにニコラスはまた驚く事になった




「………ティオナット、僕はなるべく転移を使わないでって言ったはずだったんだけどね…?


…全く、なんでこんな処だけアイツに似ちゃったかなぁー、もう」


「ごめんね、ちょっと間に合いそうになかったから使っちゃった


それで、昨日言った制服、どこ?」

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