第13話
結局、腫れ物でも見られるような状況のまま今日の学校生活を終えたがどっと疲れてしまった。
授業中はまだいい。
視線を感じないから。
だけど、授業の合間の休憩時間になるとヒソヒソとした話し声や視線を感じて窮屈だった。
本当はこのまま家に帰りたかったのに。
「はぁ」
ため息をついて、顔を隠すように伏せた。
何でこんなことに……。
私は全く悪いことしていないというのに。尊くんと関わりを持ってしまったことで、こんなに責められるような目を向けられなければならないのだろうか。
確かに尊くんはこの学校でヒエラルキーでトップの人で。
私なんかが関われる人では無いことは分かっている。
なにせここの学校は上流の人間が入るような裕福な学校だ。尊くんだってあの"四条"の跡取りだし。
私はただの凡人で、本来だったら入れるような学校では無かった。
だけど、この学校には特待生制度があって。
優秀な成績を収めれば、授業費などが免除される。その制度のお陰でこの学校で生活出来ている。
勉強することは好きだ。
将来は公務員になりたいと思っていた。
でも、難しいのかもしれない。
「あぁ、絢子待っててくれたんだね」
「っ!!」
急に声がして、ビクッと肩を震わせて慌てて顔を上げると。そこには口元に緩やかな笑みを浮かべた尊くんが立っていた。
待っててくれたんだね、って……尊くんが待ってるようにと言ったのに。
まるで私が自主的に待ってたみたいな発言に、自然と眉を寄せる。
「ふふ。疲れた、って顔をしてる。それもそうだよね、絢子は数多の人から見られ慣れてないもの」
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