第47話

「颯、颯を好きな気持ちは嘘じゃないよ、一緒にいたいって思ってる」


「無理するな、アパートを解約しなかったのも、俺と一緒に暮らす気持ちが無かったからだろう」


「違う、それはただ私がのんびりしていただけ」


「それに元彼に抱き寄せられた時も、俺がその場に居合わせなかったら、キスくらいしてたんじゃないか、大好きだったんだよな、元彼の事」


そんな事思っていたなんて、しばらく呆然として言葉が出てこなかった。


「ごめん、言い過ぎた」


彼は小刻みに震えた手を自分の手でギュッと握りしめた。

私は思わず颯を抱きしめた。


「颯が好き、颯の側にいたい、アパート解約するから、廉のことは本当に終わった事だから・・」


「凛」


彼は納得していない様子だったが、なんとか説得に応じてくれた。


「祐くんにアパート解約して颯のマンションで暮らす事言わないと・・・」


私は彼の答えを待った。


「そうだな、祐には俺から話すよ」


「お腹空いたね、夕飯作るね、一緒に食べよう」


「ああ」


それから私は夕飯の支度を始めた。

今日のメニューは肉じゃがとほうれん草と玉子のソテーにみそ汁にした。


「どう?好みの味付けがわからないから、美味しい?」


彼は一つ一つ口に運び、「美味い」と言ってくれた。


「凛は料理上手だな」


「良かった、祐くんも褒めてくれたんだよ」


「そうか」


この日の夜は彼のマンションに泊まった。

でもくっついて寝ただけで朝を迎えた。

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