第ニ章 捧げちゃった

第8話

「それから、またニューヨークに二人で来ような、その時は夫婦として」


「はい、絶対ですよ、約束」


亜紀は満面の笑みを浮かべた。


ニューヨークの最後の夜、俺は亜紀を抱きつくした。


私は運命の人に巡り会い、初めてを捧げた。


そして、結婚する、夢にまで見た好きな人との結婚。


一ヶ月、二ヶ月過ぎても理樹さんから連絡はなかった。


ニューヨークでのアバンチュールだったの?


私、遊ばれたの?


でも、若くて可愛い子ならありうるけど、年上の冴えないアラフォーを騙して、理樹さんにとってなんのメリットがあるの?


そんな私に冬美から連絡が入った。


「ニューヨークどうだった?素敵な巡り会いはあった?」


私は冬美の声を聞いて、張り詰めていた気持ちが音を立てて崩れた。


電話口でわーわー泣いた。


「亜紀、どうしたの?何があったの?」


「冬美、私、騙されて初めてを奪われたよ」


冬美は仕事が終わってから会おうと言ってくれた。


私は泣くだけ泣いて、ちょっとスッキリした。

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