第十一章 蓮さん助けて

第66話

「美希と別れて分かったんだ、こんなにいい女はいないって」


「私とは身体の相性悪いんでしょ、満足出来ないんでしょ?」


「だからあん時は若かったから気づけなかった」


元彼に押さえつけられながら、抵抗出来ない自分が惨めで、涙が溢れてきた。

そんな私を見て、元彼は急に手を離し「ごめん」と言ってその場を去った。


嫌だ、どうしよう、手が小刻みに震えて息が苦しい、蓮さん助けて、どうしたらいいの。

辺りはすっかり暗くなり、どこをどう歩いたか覚えていない、自分がどこにいるのかわからなくなった、その時スマホが鳴った。


「美希、今どこだ」


「蓮さん、ごめんなさい」


私はスマホの電源を落とした。


「美希、美希」


俺は美希に何か重大なことが起きたと察知した。


すぐに元彼の存在が脳裏を掠めた。


美希、まさかあいつに酷い目にあったのか。


今日は確か昼間親父の病院へ行ったはずだ、また待ち伏せされたのか。


俺は考えが甘かった、昼間なら一人で出歩いても大丈夫だろうと鷹を括っていた。

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