第61話

「早く孫の顔を見せてくれ」


「こればっかりはご期待に添えるか分からねえ」


「何言ってる、相手が美希ちゃんなら毎日抱きたいって思うだろ?」


私はその場にいることが恥ずかしくなり、「売店に行ってきます」と席を外した。


「お前ら、夫婦仲うまくいってないのか」


「いろいろあるんだよ」


「そうか、でも美希ちゃんはお前のこと、大好きだって言っておったぞ」


「じゃ、なんでだよ」


「よく話し合わないと、夫婦は所詮他人だ、相手の気持ちなどわからないよ、俺も母さんのことはわからなかった、年が離れていれば余計だ、お前たちはいくつ離れているんだ」


「十二歳美希が上だよ」


「そんなに美希ちゃん上か、可愛らしいから三十八には見えんな」


「あ?っ そうだな」


「よく話し合え」


彼のお父様は彼にアドバイスをしてくれたおかげで、この日の夜、彼とお互いの気持ちを確認することが出来た。




病院から戻ると、彼は私に問いかけた。

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