3話(香澄)
昨日菫から来たメールを何度も見返す。
[お前のことだから多分反省して百合に
謝ると思うけど、内心自分が悪いとは
思ってないんじゃないか?]図星だった。
だからといってどうすればいいかなんて
思いつかなかった。[分からないなら謝るな。何もこもってない言葉を吐かれたって
迷惑なだけだ]鋭い針のような言葉。菫が
正論なのはわかっている さっきまで百合に
謝る言葉を探してすが何も思いつかない。
「……いつから僕こんな最低な人間に
なったんだろう?」独り言と共にため息が
零れた。そして 何も思いつかないまま今日を
迎えてしまった「香澄くん、大丈夫?」
登校途中 桜に声をかけられた「あっ、うん。大丈夫」曖昧な返事をする。「それならいいんだけど。……あんまり無茶しないでね?」
そう言って桜は去って行った。どうすれば
いいのか分からないまま時間が進み気がつけば放課後になっていた「あのさ、百合」
教室には僕と百合しか残っていなかった。
「なに?」昨日のことなどまるで気にして
いないようないつも通りの声色だった。
「あのさ、昨日 ごめん。」百合は少し黙り
「何が?」と笑顔で尋ねた。ドクンと胸が
鳴る……何が、何が?何度も何度も自分に
聞く 早く答えを出そうとすればするほど
呼吸がしずらくなるのを感じた。
「……冗談。昨日のことは気にしてないからもう いいの。だから香澄ももう気にしないで?」百合は悲しさと傷ついたのが入り交じったような表情をしながら「……バイバイ、また明日」と無理に微笑み足早にその場を
去った。静まり返った教室 その場にしゃがみこみ 何をやってるんだと自分に呆れる。菫の言うことを聞くんだったと後悔してももう
遅かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます