第67話

ライヴ終了後。


S公会堂から人が減り始めた頃、

裏口からスタッフに囲まれ車へと移動するメンバーが見えた。


残っていたファンたちはドッと悲鳴を上げながら駆け寄っていく。



「NATSUー!!」



「hideさーん!」



「なっちゃーーん!」



スタッフに阻まれたファンたちの間から

黒い帽子をかぶったNATSUが見えた。


遠くからでもわかる、キレイな輪郭と鼻のライン……。





健司くんも、追っかけの後ろからジャンプして、



「今田さーん!!」



と、低い声を響かせる。



「ダメだ、全然見ない、普通に呼んだって」




私は……何故だか皆のように声が出なかった。






「よし、こうなったら!」



どうしても、私達に気付いてほしかった健司くんは、



「なっちゃーーーん!!!


うちの二日目のカレーライス はうまいぞぉーーー!!!早くきてよーー!」




NATSUしか分からない声援を送り、



健司くんの大きな声に、

押し寄せたファンも、車に乗り込んだNATSUも


………がっちり…注目していた。

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