第65話
予定より遅れてのstart。
" blue-black " ファーストアルバム、
のオープニング曲が会場に流れると、
ワアーーー!!
歓声が起き、みんなが立ち上がった。
ライヴハウスとはスケールが違い、ステージの大道具やライティングが大袈裟なくらい派手で、インディーズとメジャーの世界の違いがはっきり分かった。
幕があがると、NATSU以外のメンバー4人が演奏を始めて、
このとき、初めてメンバー全員の顔をみる。
ドラムの神田.
ベースのユウ、
ギターのhide、
そして健司くんとおんなじ、赤いチェックの衣装の今田さん。
「ヒデ__!」
「今田さぁーん!」
各メンバーを呼ぶ女の子たちの声が行き交う。
そして
ステージ脇からNATSUの声が聞こえると、
「NATSUー!!!」
「なっちゃーーん!」
熱狂的な声援が、ますますドキドキを加速させた。
「一緒に " 天国 " へ行こうぜ!」
NATSUの一言に女性たちの歓声が、さらにヒートアップ。
ステージの真ん中に現れたNATSUは
金髪だった髪を黒に染め、黒革パンツに黒いノースリブのトップ、
腕までの革の手袋をして、まるでSMのSの女王様みたいな衣装を身にまとっている。
青白いス チームがあがる中に、
まるで " 美しい悪魔 " みたいに立っていた。
ゾクッと……
―――鳥肌が立った。…――
優しくおでこにキスしてくれた、甘い 王子様みたいなあのNATSUと、
ステージに立った、オーラ出まくりのNATSUが、どうしても同一人物に見えなくて、
心臓が止まりそうになっていた。
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