第18話

来た道を帰るつもりなのに、分からなくなった。


あのカラオケボックスを探しても、ビルのあった場所は空き地になってる。



私……頭がおかしくなったの?


小店の公衆電話をみつけて、おばさんの家にかけてみる。




トゥルルートゥルルー…



繋がった!




《もしもし、山仲ですけど》




「…おばさん!…愛です。何も言わずに外出してごめんなさい、今っ……」



「愛?どちらの?おかけ間違いじゃないです?」



けれども、冷たい返し。



「怒ってますか?あの、すぐ帰りたいんけど道に迷ってしまって、……お母さんの初七日に本当にごめんなさい」





ブツッ…!



「あっ!」



ツーツー…ーーー



切られてしまった。




再度かけるも電話をとってくれない。


泣きそうになりながら、まだ明かりのついているCDショップに立ち寄った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る