第22話

PiLiLiLiLi! PiLiLiLi!





「はい、サイトウ…


 あぁ、 わかった 伺う。」





Pi…






「アカネ、すまん。


 急ぎの用が出来た。


 次は、明日の22時に ココで…」




「あ〜ん、サイアク…


 お預けヤぁだっ!


 

 せめて、ちゅうしてよぉ…」




スクッと立ち上がるサイトウにしがみついて、爪先立ちで目線を近づけるアカネ。




「ん… 」 Chu… Chu-Chu…♡






アカネの踵が床についても、2人は見つめあっている。




「俺としたら、

 3日はチカラが入らなくなるぞ?


 それでも良ければ、

 明日の22時にここに来い。」




「それでもいいの


 アタシを食べて…? サイトウさん…」




「ふふ…


 今のうちに有給を申請しておけ


        最低3日間は、な」




アリスの肩に手をやり、そのままソファに座らせると、サイトウは入口に向かう。




征十郎は はっと我に返り、

瞬間的に 通路に置かれたエバーフレッシュの鉢の影に隠れたが、サイトウは奥の通路へ走り去った為、鉢合う事は無かった。





『 (今日はもういいや。


   部屋に帰ろっと…) 』





―――――…





歩いて迎賓館を後にする征十郎。




「ややっ!?


 征十郎様!??


 なぜここに!???」




中庭を警護する使用人に声を掛けられたが…




『ちょっと散歩。

 

 もう部屋に帰るから気にしないで。』




「し、承知致しました!


 お言葉頂戴し、有難き幸せ!」





結局、父親には会えずに1日が終わった。

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