第23話 それでは始めましょう

 飲み会の途中だったけれど朝比奈も私もその気・・・になったのでテーブルに残る料理にラップをかけていた。


「……」

「……」


 無言で一通りの料理を保護して台所に移動させると改めて、


「それでは始めましょう」

「お、おう……」


 朝比奈は少し緊張している様子。そこまで深く酔ったワケでも、恋人と言う関係でもない。

 適切な表現としては……私は“経験”を積むため。朝比奈からすれば成り行きと言った所か。


「とりあえず、咥えましょうか?」

「そ、そうか?」

「ベッドに行きましょう」


 言葉に困ってる様子の朝比奈の手を引いて寝室へ移動。可能な限りの平常心を装っているが、流石に私も心臓が早なって来た。

 朝比奈には寝室のベッドに座ってもらうと、盛り上がる陰部に注目が行く。


「なんか……すまん」

「謝る必要は無いと思うわ」


 そう言う事をこれからするのだ。それに私に興味を持ってくれるのは悪い気はしない。

 ズボンを脱がし、テントを張る薄いパンツをずらすと局部が姿を出した。


「…………」

「どうしたの? 顔を隠して」

「……何か死ぬほど恥ずかしい」

「貴方は毎日見てるでしょう?」

「他人に見られるのが平気なヤツは変態だろ……」

「今は平気になって頂戴」


 ソレを握る。すると、朝比奈がビクッと反応した。


「そう言えばコレは性感帯でもあるのね」

「一応、急所だからな……あまり強く握るな……」


 柔らかいのに硬いと言う、妙な感覚。生物としての本能なのか、握ってるだけで下腹部がじんわり熱くなっていく。

 知識ではコレを上下に擦る事で果てるらしいが、今握ってるだけでも朝比奈は余裕が無い様子だ。とりあえず――――


「!! うぁ!!?」


 身を乗り出して口一杯に咥えてみた。その途端に、朝比奈がビクンと反応したのが咥えたソレを通して感じ取れる。口に含んだまま舌を動かして嘗めまわす。


「くぉ……岸沢……ソレやばい――」

「ひょう(そう)」


 どうやら気持ち良いらしい。唾液で滑りを良くして嘗めまわしつつ引き抜くように動かす。


「うっ……くぅっ……」


 そして、再び奥まで咥え込む。


「うっがぁ……」


 朝比奈の反応が面白い。朝比奈のソレを口の中で上下に擦り続けていると、ビクビクと痙攣が継続的に感じられた。


「岸沢……マズイ……そろそろ出――――」


 私はソレを一気に奥まで咥えた。その瞬間、我慢していたモノが決壊したかのように勢いよく放出される精液を喉の奥に流し込まれる。

 窒息の危険からも、抵抗せず精液を飲み干す様に身体の中に受け入れる。


「ちょっ!? 岸沢っ……吸っ……吸うなっ……」


 放出が終わった様子に咥えていたソレを離すと、先端から残った精液が糸を引く。朝比奈は呼吸が乱れて肩で息をしていた。


「味のないゼリーみたいね」

「……そうなのか……」


 朝比奈のソレは満足したように少しだけ小さくなっていた。逆に私の中の熱は強くなっていく。

 立ち上がり上着を脱ぎ、スカートも脱ぐ。下着姿でブラのフックに手を回していると朝比奈も服を脱ぎだした。その間、落ち着いたモノは復活していた。


「簡単にそうなるのね」

「……いい女に期待すると男は誰だってこうなるんだよ」


 ブラを外すと胸の重さが直で肩に来る。その重みを感じていると朝比奈の視線が向いていた。


「男の人ってみんなコレが好きなのは噂通りなのね」

「……日常じゃなるべく見ない様にしてるけどな」


 私はしゃがむと、胸を持ち上げベッドに座る朝比奈のソレを谷間に挟んだ。


「! 岸沢……お前経験あるのか?」

「はじめてよ。あるのは知識だけ」

「おまっ……嘘だっ」


 挟んだ胸から飛び出した先端を咥えると朝比奈は黙った。コレをいじると、朝比奈が一喜一憂する事に少し楽しさを感じている。口に含んだままチロチロと舌で先端をいじる。


「ちょっ……ソレ……やめっ……出――」


 すると、舌を押し退かせるように先端から精液が放出された。そのまま口の中に溜める様に受け入れ続ける。ビクビクとした感覚が伝わり、全てを出し切った様子に零さない様に顔を引いた。

 そして、先ほどよりも飲みやすかった為、そのままコクッと飲み込む。


「……喉に引っかかる感じは無いわね」

「ハァ……ハァ……そう……か」

「朝比奈は経験あるの?」

「まぁな……て言っても一人だけだが」

「そう。それじゃ――」

「うぐぇ!?」


 朝比奈のモノを握り、再び咥えて口の中で程よく復活したと感じる大きさにすると引き抜く。そこで、私も秘所から漏れ出る愛液がパンツを濡らしている事に気が付いた。


「じゃあ、本番をしましょうか」

「動きが手慣れ過ぎなんだよ……」


 パンツを脱ぎ、避妊具を一つ取ると朝比奈のソレに着ける。着けている最中、更に大きくなったので少し苦戦。


「こう言うのが好きなのね」

「何度も言うが……男ならみんなこうだからな……」






 そそり起つソレに口で避妊具コンドームをつけると、朝比奈にはベッドに仰向けになってもらった。


「それじゃ、じっとしててね」

「なんか……男の尊厳が無くなってる気がする……」


 朝比奈が何か言ってるが私の興味は……人生で一度しか経験できない“喪失”にある。

 またがる様に秘所の前に朝比奈のソレがどこまで入るのか見る。長さ的には腹部まで届く。問題なく喪失出来そうだ。


「…………」


 腰を浮かせて、秘所の入り口とソレの先端を合わせる。愛液は十分。噂では痛いらしいが、十分に濡らせばある程度は軽減されるハズ。しかし、朝比奈のコレが私のモノよりも大きいと言う判定であれば強い痛みがある可能性は十分に――


「……躊躇うならオレがやろうか?」

「いや……自分で行くわ」


 腰を下ろす。穴を無理やり抉じ開けるような感覚――


「痛っ……」


 入らない。そう拒否するかのような痛みに動きが止まる。すると、朝比奈が腰を支えてくれた。


「あまり無理するなよ?」

「……大丈夫よ」


 腰を落とす。ミチッと先端が入り、痛みに涙が浮かぶが、ゆっくりでは逆に苦しいと感じ一気に腰を落とす。


「うっぉっぎっ……」


 ビチビチと言う音が聞こえた気がする。何とも言えない痛みに、出した事の無い声とツゥ……と愛液とは別の液が流れる感覚。はぁ……はぁ……と痛みを誤魔化す様に肩で息をする。


「岸沢……一つ良いか?」

「……何?」

「まだ……全部入ってない」

「――――嘘」


 その事実に膝の力が抜けるとズッ……と残りが深く入り込み下腹部を押し上げた。貫くような感覚に思わず身体が仰け反る。少しでも気道を確保するように上を向き、口を開いて舌を出す。


「んっく……はぁ……はぁ……」


 そのまま力が抜けると繋がったまま、くたっ……と朝比奈に倒れ込んだ。


「思った……以上に……余裕が無い――ひっ!?」


 朝比奈の両手がお尻を掴む。予想外の箇所からの感覚にビクっとなり、繋がってる箇所から痛みと快楽の信号が同時に感じられた。


「朝比奈……待って……今……」

「悪い岸沢……そんなとろけた表情されると我慢の限界だ」

「ふ……ふぇ?」


 ベッドの横の台に乗ってる置き鏡を見ると、私の表情は今までに見たことが無い程に崩れていた。

 朝比奈は起き上がると私を前に抱える様に顔を近づけてくる。


「あっ……嫌……ダメ……見ないで……」


 こんな顔をまじまじと見られたくない。私は朝比奈に抱き着く様に密着するが、くるっと位置が入れ替わる様にベッドへ仰向けに倒される。


「あっ……」


 繋がっている箇所が見える。それを“感じる”のと“見る”のとでは下腹部に宿る熱は大きく違ってくる。


「岸沢……めちゃくちゃ締めてくるな……」

「こ、コントロール……できる……ものじゃない……わ。うっく……」


 ゆっくりと引き抜かれる感覚に声が漏れ、痛みが伴う。そして、突き入れる感覚には最初ほどの痛みはない。

 そうやって、前後に動く運動を繰り返されていくと痛みは消え、快楽が波となって脳にスパークが起こす。


「あっ……あっ……あっさっ比奈――」


 朝比奈のソレが引き抜かれ、奥をまで突かれる度に来る快楽を前に、何かをしようなどと言う考えは浮かばない。

 成されるがままに、朝比奈も腰を動かし、私を堪能してくれている。


 誰もがコレに夢中になる理由がわかる。

 男性は女性に対する征服感を得て、女性は男性に対して必要とされていると強く認識するからだ。

 人は一人では意味を成さない。求め、認められる事で初めてその存在価値が証明されるから――

 原始的な性行は端的にソレを感じられるからこそ枯れること無く誰もが求めるのだろう。


「いっ……んっっっ……」


 朝比奈が動いている最中に私の中の波は絶頂を迎えた。反射的に全身が縮む様に強く強張り、自然とナカを締めるつける。

 朝比奈の動きが止まる。


「はぁ……はぁ……朝比……奈ぁ!!?」


 しかし、朝比奈は再び動き出し、奥まで深く突き込む。そして、至近距離で覗き込む様に、


「悪い岸沢……普段とのギャップがオレに死ぬほど刺さってる」


 その言葉にとろけた顔を思い出し、恥ずかしさから肘で顔を隠した。


「んっ……あっ……あっ……」


 それでも朝比奈は止まらない。セックスを始める前に二回抜いた影響なのか、己も絶頂を迎えようと必死になっている様だった。


「うっ……くぅぅぅ……」


 繰り返されるピストン運動の中、私は二度目の絶頂を迎えた。しかし、その最中でも朝比奈は止まらない。


「い……いまっ! イってるっ!! 朝比奈っ! イき続けてるから!!」


 朝比奈を止めようと腕をかざすも、内側から湧き続ける絶頂の快楽に力が入らない。

 吐き出す空気だけが多くなって、息を吸う為に大きく胸を動かす。と――


「ひっ!? それ……だめっ! それ……止め――」


 朝比奈が覆い被さる様に胸を掴み、乳首を摘まむ。

 全身の神経が表に出ているかのように、それだけで快楽がプラスされ、今までに無い波が――


「岸沢……ナカに出す……ぞ……」

「うっ……ぎっ……くっうぁぁぁぁ」


 チカチカと視界に連続でフラッシュが走る。

 朝比奈が覆い被さる様に奥まで突きいれたソレから放たれる精液がナカに注がれている感覚に全身が受け入れる様に足を絡める。

 押し寄せる快楽に意識が飛ばない様に歯を食い縛り、彼を抱き締める姿勢が本能的に意識を踏みとどませる形だった。

 それは単なる快楽だけでなく、どこと無い幸福感も身体から感じさせる――






「っ……はぁ……はぁ……はぁ……」

「ふっ……ふっ……ふぅ……はっ……はぁ……」


 余韻に浸る間も、ドクドクとナカへ入ってくる。

 その感覚に絶頂を続ける私が強く抱き着く形なので朝比奈は離れられ無い様子だった。

 射精が止まった事を感じるとようやく腕の力が抜けた。

 朝比奈は引き抜く様に身体を引くと、繋がっていた部位が離れ、精液と愛液でコンドームが外れる。


「んっ……」


 朝比奈が私の秘所からコンドームを引き抜く感覚に声が出る。先端は卵ほどの大きさに膨らんでいた。


「……岸沢……大丈夫か?」

「え……ええ……」


 私は、ボフ、とベッドの仰向けになる。二人の身体から出た液体でシーツはぐちゃぐちゃに汚れてしまった。特に破瓜の血もついてしまったのでもう捨てる事になるだろう。


「凄い……感覚だったわ……」

「オレも……めちゃくちゃ出た」


 私は少し落ち着いたので身体を起こす。朝比奈はコンドームから精液が漏れない様に入り口を結んでいた。


「これは……多い方なの?」

「感覚でわかる。三回目でこんなに出た事はない」

「朝比奈は経験は一回よね?」

「溜まったら自分でやってるんだよ。その時は二回で満足する」

「私は喜んでいいのかしら?」

「少なくともオレはめちゃくちゃ満足したぞ」


 彼のソレを見ると今までで一番小さくなっていた。私は――


「岸沢っ!?」


 ソレを横から咥えて本当に限界なのか舐め回して確かめた。


「ちょっ……お前……止めろ……マジで……」 


 朝比奈の拒否とは裏腹にソレは元気に口の中で膨らむと先ほどの大きさに戻った。

 口の中から解放して、ソレを見ると再び下腹部が熱くなる。


「まだ、時間もあるし、避妊具も残ってるわよ?」

「……せめて水分補給をさせてくれ……」


 仕事の時と同じ様に彼は最後まで私に付き合ってくれるらしい。

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