第52話

 抱きしめられて3分はたったであろう…

紗奈はスカイの背中を一生懸命叩く。


「そんな力で俺が紗奈から離れると思う?」

「だって、誰かに見られたら…バレちゃうよ…一緒にいられなくなるかも」

「そうだった。俺と紗奈は共犯者だからね…バレると共犯ではなくなるよね。バレないようにしないとね」


スカイがわざと耳元で小声で喋る。

低音ボイスが直接、紗奈の脳内に届いてクラクラしてくる。


「スカイ…大好き…」


紗奈は甘えるようにスカイの体に自分の顔を埋める。


「本当に紗奈は可愛いね」

「ねえ、話ってなに?」

「そうだったね。紗奈と話がしたかった。俺に着いてきて」


スカイは紗奈の手を握ると、先頭を切って引っ張り歩き出す。

流れに身を任せて着いていくと、外のベランダにキャンドルライトとソファベッドがあった。スカイはソファベットの上に乗り座ると、手招きした。

紗奈は目を丸くしてビックリしている。


「え?これって…」

「そう、高校時代によくしてたよね?」

「うん…スカイの膝枕でよく寝てた」

「おいで」


スカイが優しく微笑んで手招きする。体は自然と動き紗奈は寝転がった。


「ー…星が綺麗…」

「ここから見る星空が綺麗だから、紗奈と一緒に見たかったんだ」

「綺麗だな…」

「そうだね…」

「あの頃は青空を見てたよね?」

「そうだよ。紗奈と一緒に見る青空は綺麗だったな」


スカイの目が潤んでいるように見えた。

今、スカイは何を考えているの?

あの頃の時間はスカイにとってどう感じたんだろう…


聞いてみたくなった


「私と過ごした時間はスカイにとって大切だった?」

「………」


スカイは何も言わない代わりに、キスをしてきた。


「…どうして」

「過去の事は忘れたな」


はぐらかすように星空に視線を向け、紗奈の髪を優しく撫でながら言った。


「…ずるい」

「けど、今、この瞬間は大切な時間と思ってるよ。大事だなってー…」


スカイが視線を落とすと、紗奈と目が合う。紗奈はじーっとスカイを凝視する。


「綺麗な瞳…私はスカイの目が好きだな…私を真っ直ぐに見てくれるから安心する」

「そっか、紗奈はあの時もそんなことを思っていたんだ」

「あの時…?」

「なんでもないよ。俺も紗奈の目が好きだよ」


紗奈の瞳が俺以外の別の人を見ていたとしても…ね。








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