第25話

スタジオに着くと、ダンスをしているのか地面を蹴る音が響いている。

 紗奈は邪魔にならないようにゆっくりとスタジオに入ると、音楽が止まり、スカイとユーシが言い争いを始めた。

「だから、このサビの部分はユーシが前に出て歌うんだ」

「いきなりパートを変えるとかあり得ない」

「一回やってみよう」

「いくらスカイのお願いでも無理だ」

「ユーシ」

「…った、分かった、やってみるから!」

 スカイに説得されて、ユーシがサビの部分を踊りながら歌う。

「あれ?管理人のサクちゃんだ」

 紗奈に気付いたアヤトは声を掛けてきた。

「練習中ですか?」

「そ、新曲のダンスの練習中」

「へぇ…」

 メンバーは紗奈が来たことに気づかないほど、練習に集中していた。

 紗奈の視線はメンバーから、スカイ1人に向かっていた。

「…スカイはさ、デビュー前は誰よりも踊りが下手で見放されてたんだけど、今では誰よりも踊りが上手くなってるんだ。」

「本当に…カッコいい…」

「完璧主義って言うのかな?自分が納得するまでやめないんだ」

「そんな一面が…」

「スカイは努力家だよねー…あっ、惚れたらダメだよ」

「はっ⁈わっ、わたしが⁈あり得ないですよ!」

「…ふっ、

いいね…これでいこう!」

 リーダーであるアヤトはスタジオ全体に声を響かせるように言った。アヤトのかけ声で、メンバー達は動きを止めた。

「さぁ、フォーメーション変わるから、もう一回最初からやるよー!」

 アヤトは紗奈から離れて、メンバーの近くに戻って行った。

「紗奈さん…?」

 スカイと目が合って、軽くお辞儀をしようとしたら、すぐに視線を逸らされてダンスをし始めた。

「…なっ!なに⁈」

 スカイの態度にイラッとしながらも、スタジオの隅の方で見学した。

 30分くらい経ち、マネージャーの前田がスタジオに入ってきて、紗奈に話しかける。

「サクさん、これから私はアヤトとレンノスケとキキをラジオの仕事に連れていきますので、スカイとユーシを連れ帰ってください!」

「はい、分かりました!」

「出待ちがいる可能性もあるので、気をつけてくださいね!」

「はっ、はい!」

「じゃあ、また後で明日のスケジュール送りますから、宜しく!」

「はい、お疲れ様です」

 マネージャーの前田は3人を引き連れてスタジオを後にした。

「じゃ、帰りましょうか?」

 ユーシは身支度を整えて紗奈の前に立つ。

「はい、スカイさんは…」

「ここにいるよ」

 ニコリと笑っていた。

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