げいはみをたすく
ひとまず、文字を書いておけ。
というのは、困ったときに記録を取っておくという意味での習慣だ。
もちろん時間や場所の記録でもあるし、記録をしようとしたという意味でもある。
それは自発的な努力意味として、不明瞭なりに後に説明する意義があることがある。病気などのときであれば、ひどくそれは重要な指針になる。
そもそも人間の機能の形によって欲望の形が定まるとするなら、健全さを失った肉体が以前と同じような欲望を保てているはずもない。
それは、ぼくらのように趣味に生きていることを自覚している者にとって重要なことである。以前と同じ人間関係が維持できるかと同じように、同じような同じものに愛着を持てるかはかなり深刻だし、同じ様に感触を抱けるかも重要だ。
たとえば、プラモを組めるか作れるかとか、料理を作れるか味わえるか、ゲームが楽しく進められるか、僅かななにかにこだわる価値を見いだせるか。
たいてい病気をすると、そうはできなくなる。
怪我でも同じなんだけどね。
理由は色々あるんだけど、そもそもの病気の原因がもともとの生活にあるわけで、根治の上で一旦それを取り除く必要があるから。
そういうわけで、ちょっと制限を受けながら、ボクも小説を書いている。
まぁボクの場合は、過去の資産を引っ張り出したり、或いは適当につなぎ合わせてそれなりにしていることが多いから完全に新作ということはあまりない。
それでも創作を通じて指を動かしたりテキストを読んだり、そのとき自分が論理的に構成していたかを追っていたりという作業を通じることで、脳に適度な負荷をかけてリハビリをしている。
要するに元の機能を取り戻そうとしている。
とりあえず、若いウチに書いた小説は面白いからとっておけ。
というのは、大抵の作家が言うことで、ボクも素人ながらそう思う。
けっきょく魂というべき欲望の形はおそらく小学生から高校生のどこかの段階である程度、芯の整形は終わる。その後、周辺のいくらかは拡張がおこなわれるが、増えたり減ったりはその時の能力や機能による。
だが、魂の形は割と変わらないようだ。
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