-自慢の彼ー

第2話

「終わったら一緒に帰ろ」


「は?何言ってんだ、一人で帰れ」


「やだ。だったら呑む」


「おい、酒呑むなよ。どうやって帰んだ?」


「呑んで運転できなくして、たっかと一緒にタクシーで帰るんだもん」


「だめだ、遅くなるから、呑まないで帰れ」


「じゃあ、一緒にホテルに泊まろう?タクシーで帰るのと同じくらいでしょ?お金」


「タクシーで帰らねぇ、酒が抜けるまで閉店したこの店で寝てくんだ。帰るなら一人で帰りやがれ」


「ムっ!じゃあ紗子もここで寝る!」



「ふざけんな‥‥浩二さんにバレたら殺される」


「お父さんも、たっかなら嫁に行ってもいいって言ってるもん」


「言ってねぇだろ?知らないやつよりは安心だよなっていう笑い話だろーが」


「違うもん」


「違わない」


「もう!紗子大人になったんだよ。いいでしょ?」


「はっ!笑える。処女がなにいきがってんだ」


「じゃあ早くこの処女貰ってよ」


「嫌だね、青臭い処女は抱かない主義なんだ」


「じゃあ、そこら辺の男捕まえてヤッテくる」



『たっか』は大きなため息ついて、今にも歩き出しそうな私の腕をガシっと掴んだまま項垂うなだれた


私の大好きな人


『「たっか」こと、高村湊斗たかむらみなと35才のハーフな彼。小さい時から知っている近所のお兄さん』


そんなお兄さんは昔から優しくて、こうやって見え見えの嘘にも付き合ってくれる。



「分かったよ。でも酒飲むなよ。‥‥帰り送ってくれ」


「うん!やった!またあとで来るね!友達とカラオケ行ってくるから!!」



店の外に連れ出して、口論して粘ったかいがあった


たっかが折れてくれた!

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