8

苦手意識を持っている場合じゃないんだけど、手越君をどう攻略したらいいのかなぁ。



こういう時は……。



首をひねって考えたあと、カバンをゴソゴソとやってスマホを取り出した。



美奈に電話をしようかとも思ったけれど、先にプロフィールをチェックしておけば問題は解決。



九条君ルートの時は、手越君のプロフィールは表記されていなかった。



今回は手越君ルートにきたわけだし、表記されているだろう。




「うん、あった……」




スマホを操作すると、やはり手越君の顔も追加されている。



それをタップしてみると、手越君のプロフィールが出て来た。



なになに……好きなもの、女の子の笑顔?!




「バッカじゃないの?!」




ボフッとベッドにスマホを投げつける。



なーにが、女の子の笑顔……だよっ!



寒い事プロフィール欄に書かないでよ。



調べて損しちゃったじゃない!




「寝よ寝よ。まだ初日だし、明日何かイベントあるかもしれないし」




初日ですべての事がみえるわけではない。



気持ちを切り替えて、明日は明日で頑張っていこう。



スマホを拾い上げて机の上に置いてから、私はベッドに入って横になる。



ライトのスイッチを消して、目を閉じた。



……あと何回この動作を繰り返したら、元の世界へ戻るんだろう?



夢にしては長い気もするし、自分の思い通りにならないから、目が覚めて欲しいとほんの少しだけ思っちゃったり。



でも、よーく考えてみれば、キャラは変でもこっちの世界のが断然いいと思う。



キャラの性格に慣れれば、こっちのペースに巻き込むこともできそうだもん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る