第1話

カタン…。


…来たな。

この瞬間は、毎回ドキドキする。

まるで死刑宣告をされるのを待つ囚人のよう。


囚人…の気分に決まってる。

このまま仕事が決まらなければ、死活問題。


せっかく飛び出してきた

実家に逆戻り。

そして世間からは、

未だに実家を出られず親離れできずにいる

パラサイトシングルと後ろ指さされることになるからだ。


 私、吉田遥。

一見、性別不詳な名前ですが、

女子です。

…でも女子力低いんで、女子と呼べるかどうか…。

昨年の12月に会社を辞めて

なかなか仕事が見つからず、初の引っ越しで

大都会?

東京に進出しました。


東京と言えば、

時給が高いし、人手不足と

テレビでよく報道していたので

簡単に仕事も見つかるだろう!

と気軽に考えていたのですが…


求人誌をくまなくチェックし、面接に行くも

9連敗中。

次こそはと思いながら

今日も部屋で期待に胸を膨らませつつ

不安に苛まれながら

郵便ポストに手紙が来る時間を待っていたところでした。

そして、今日もポストには一通の手紙が投函されたようでした。


恐る恐る、ポストを覗き、投函された郵便物を手に取ると

少し、厚い書類の重さを手に感じ取りました。


…この重さは…多分…。

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