第36話

「な、に、そ…れ…」


「嫌なら逃げて。他の人が好きなら、今すぐ逃げていいから」


あきちゃんと同じ顔でそんなこと言わないでほしい。


他の人。


けど、もうあきちゃんは手に入らない。


私の恋は終わった。


今日、終わりを告げた。


「もう、好きな人なんていない…」


「…なら…」


ダメだよ。


ーどうせ【選ばれない人間】なんだからー


受け入れちゃ、ダメ。


心の中に警報が鳴る。


けど、忘れられない。


あきちゃんが忘れられない。


あきちゃんと瓜二つな彼を、利用していることは分かっていた。

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