第22話

下を向いて、顔を見ないようにすれば、ただここですれ違っただけの人になる。


そう思って、後ろを向こうとした。


しかし、


「ー!」


パシッと腕をとられた。


瞬間、反射的にバッと彼の手を振り払った。


きっと今、私はすごい形相なはずだ。


あきちゃんにそっくりなその顔に惑わされないようにするために。


藍美あいみじゃない…」


「違います」


違う、私はずっと。

【藍美】じゃない。


「なら…」

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