第20話

「そんなに窓見つめるくらい好きなら告白すればいいのに」


色々なことを思っていた自分にハッとする。


里奈は呆れたような、困ったような顔をしていた。


「私、窓の外見てた?」


「うん、無意識にね。まあ睨んでたに近いけど」


「そっか」


「他にも睨んでる子いるけど、玲唯くん全然気付いてないね〜。鈍感というか、全く…。ちゃんと近くにいる子のこと見て欲しいわ」


「ありがと…里奈」


里奈はずっと私の恋を応援してくれている。


たとえそれが叶わないとわかっていても。


もう一度窓の外に視線を送る。


話は終えたはずなのに、2人で校舎の中に入るのが見えた。


ー玲唯の…ばか。


心の中で揶揄しても、玲唯はこちらには見向きもせず、たった1人の女の子を見つめていた。


私じゃない、女の子を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る