解放

生は難く死は易し

第1話

どれくらい歩いたんだろう。辺りは薄暗く、人も見かけなくなっていた。


全く知らない町に足を運んでいる途中、和やかな雰囲気に包まれている家族や、肩を寄せ合い幸せそうに微笑み合うカップルを目にしていた。






飼い主と散歩をする犬は人と比べれば短い命ではあるけれど大切にされれば歓喜し尻尾を振るのだ。


動物の命は儚い。でも儚い生命でも幸福と感じられる事にきっと意味があるのだと思う。


私はそれがとても羨ましかった。






皆それぞれ、様々な形の苦悩があると思う。比べたら私の悩みなんて取るに足らないのかもしれない。


でも私はその苦しみを乗り越える方法を知らない。






怒っても、喜んでも、寂しくても……そして、悲しみで涙を流したとしても手を差し伸べ優しく抱きしめてくれる人なんて私には居ないから……。






これで私は本当に生きていると言えるのかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る