第15話
「…姫様、すみませんがよくお聞きになってください。今から、申し上げます。後宮の飛香舎(ひぎょうしゃ)より、お使いが来られました」
「後宮から?」
さっき、内裏というから、驚いたけど、後宮となると、たぶんあの典子姉様、藤壷女御様だろう。 あたしは少しほっとしながらも、居住まいを正した。
「今上帝の妃であられる藤壷女御様のご名代として、女房の高倉侍従どのが来られました。香子姫様にお目通りしたいとのことです。内々のことでお伝えしなければならないことがあるそうです」
鈴鹿はさっきのあわてぶりはどこへやら、きびきびという。
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