黄泉平坂サブch【ウィークリー生配信】202✕年4月26日配信
【ウィークリー生配信】202✕年4月26日配信
(略)
「えっと、ここからはね、昨日までの3日間。3日間ね、連続公開させていただきました『除霊の家』の話を少し、していきましょうか」
「いやあ、超大作だったね」
「いや、ホント、マジでサブチャンのボリューム感じゃなかったですよね」
「ホントだよね」
「でもまあね、メインチャンネルとしては、僕ら幽霊を見たくてやっているわけですから。今回は『幽霊がいない場所』なんで」
「これ、みんな見てる前提で話してるけど大丈夫?」
「あ、確かに。ごめんなさい、ここから先はちょっとネタバレ含む予定なんで。『除霊の家』を未視聴の方は一旦見るのを止めていただいて。『除霊の家』をね、ぜひ見てくださってから、こちらの配信を。こちらの配信はアーカイブで見られますので」
「よろしくお願いします」
「……はい! じゃあ良いかな?」
「今日は考察?」
「そうだね。ちょっとね、僕としては、まあもちろん前中後編の中でも伝えたいことは伝えてるんだけども。あ、だから蛇足だと思う方もね、今日はここまでにしていただいて」
「カズくんてけっこうさ、多くを語らない系のホラーが好きだよね?」
「いや、そうだけどさ……今回はちょっと語らせてよ。蛇足だとしてもさ」
「ここ、配信だけの話としてね」
「そう。あの3部作とは別として。僕個人の考察。僕個人が話したいから話す、みたいな」
「もはや配信ジャックだね」
「私物化と言われてもかまわないので、今日は語らせて下さい」
「もちろん、どうぞ」
「まずはさ、そもそもあの家の何もかもが、いったい何のために置かれているのかってことなんだけど」
「うん」
「これは動画の中でも話したことだけど、2階で霊を呼び出して、それを床下収納にあったものへ封印あるいは閉じ込めようとしたんじゃないか、って話だったよね?」
「うん」
「でもさ、あれ、2階にあった『祭壇』を見る限りさ、特定の霊を呼び出そうとしているようには見えなくない?」
「ああ、確かにね。何かこう……特定の霊を呼び出すならさ」
「うん」
「写真とか、せめて何か形見的な物があっておかしくないよね」
「そうなんですよね。まあ、その儀式が成功したとして。すでに個人を特定できるような物は持ち去られたのかも知れませんけど」
「どっちなのかな」
「うーん。特定の霊を呼び出して何かに封じ込めたというなら、死者蘇生……床下収納のサイズ的にご遺体とかは入らないだろうから蘇生……ではないけど、まあそういう目的なのかな。それか恨みのある相手の霊を封じて『成仏させないぞ』的な?」
「もしくはさ、適当な怨霊みたいなのを呼び出して、呪物を作ったとか?」
「ああ、なるほどね。それもありそうだね」
「どちらにせよ、床下収納にあったはずのものは何処に行ったのかな」
「まあ当然、当時の家主が持ってったんだろうね」
「それをどうしたのか、っていうのも謎だよね」
「呪物を作ったのなら、まあ……誰かを呪うのに使ったんじゃない?」
「そりゃそうなるよね」
「特定の霊を封じ込めた場合は……うーん、ずっと手元に持ってたのかなあ」
「え、でもさ、家主の方って亡くなってるんだよね?」
「そうだね」
「あの家から引っ越して、別の場所に住んでたの?」
「あ、そういえば元の所有者の話って、あんまり詳しく言ってなかったかもね」
「そうだよ」
「ああ、もうちょっとちゃんと、事前情報として話しておけば良かったかなあ……。えっとね、家を手放した時点──だから20年くらい前だよね──その時点で50代くらいのご夫婦だったんだって」
「ご夫婦」
「そう。お子さんはいなかったらしい、って、不動産屋の方は」
「らしい、ってことは、はっきりとはわからない?」
「そうだね。色んな可能性はあるよね。もちろん本当にいない可能性もあるし。小さい頃に亡くなったとか、引きこもりを隠してたとか……色々考えられるよね」
「うんうん、あー」
「不動産屋さんが知る限りは、親戚付き合いは疎遠だったみたいだけど、まあ別に普通のご夫婦だったみたいだよ。その、変な、変なって言っちゃいけないけど、変な宗教にハマってたとか。暴れたり騒いだりとか。少なくとも表立った変なとこはなかったみたい」
「逆に怖いね。それであの家の中でしょう?」
「いやホントにね。それで20年くらい前に手放して……その辺の事情はわからないみたいなんだけど、東北の方の、ご主人の実家に帰られたって話らしい」
「はあ、そうなんだ」
「それで10年くらい前にご夫婦ふたりとも、原因はわからないんだけど、立て続けに亡くなっちゃったらしくて。それで甥御さんがあの家を相続したみたい」
「売る条件は20年前から?」
「そうそう。それで甥御さんが、その条件でなんで売れないんだろうって見に行ったら、あの有り様よ」
「あれは……売れないだろうね」
「でもさ、その、元の所有者のご夫婦はさ、あの家を誰かを買ってもらいたいと、買って欲しいと、思ってたんだと思うんだよね」
「ん、ん? どゆこと?」
「まずさ、あの家って、御札とか仏像以外はめちゃくちゃ片付いてたじゃない?」
「そうだね。ホントに、何も残ってなかったよね」
「でしょ? 買い手に家財等の処分を条件としているとは思えないくらい、何もなかったよね。だからさ、その家財等の処分って条件はさ、御札とか仏像を除けば、もうあってないもののような、そのレベルというか」
「はい、はい。なるほどね」
「つまりそれってさ、出来るだけ買って欲しいから、あそこまで片付けたわけじゃない? それにあの『ここにゆうれいはいません、とてもあんぜん』ってメッセージもさ──いや正直あれで安心できるレベルのヤバさじゃないけど──あのヤバい状態を、安心させるためのものだと思うわけよ」
「でもさ、でもさ。ごめんね。そもそもなんだけど、何で自分達で処分しなかったんだろう」
「そりゃあね、あれだけの、呪術的な装置なわけですから。崩すことで危険があるんじゃないですかね」
「ダムが決壊するみたいな?」
「……あそこって、その、2階で呼び出した霊がキッチンの床下収納に吸い込まれるような装置になってるんじゃないか、って、まあ僕達の考えですよね?」
「うん」
「それで、外から余計な霊が入れないようになってるから、その、Kさんが言ったように、あそこは『幽霊が全くいない場所』になっているんじゃないかと」
「うんうん」
「それってつまり、真空状態。霊的なね、真空状態みたいな、状態になってるんじゃかいかと。だから不用意に結界を壊すと──」
「周辺の霊が、ぶわーっと?」
「なるんじゃないかな、と」
「なるほどねえ……」
「あともうひとつ気になるのが。あそこが『幽霊が全くいない場所』だとして、何でその噂が広まったのか、って話なんですけど」
「その噂って元々はさ、その、視える人達の間で『幽霊を閉じ込める方法を探してる奴がいる』って噂だったんだよね?」
「そう。それを忘れちゃいけないよね。それがいつの間にか『幽霊が全くいない場所』って噂になった、と」
「んー、それってさ」
「あ、ごめんなさいタクミさん。考察担当は僕なんで」
「ええ……」
「タクミさんが言いたいのって、誰かにあの場所の、始末を、誰かにさせるために『幽霊を閉じ込める方法』を元の所有者さんに教えた誰かが、わざと噂を流したんじゃないか、ってことですよね?」
「んんん、正解」
「その可能性はかなり高いと思いますね。後は動画内でも触れたように、噂を流すことでその、呪詛といいますか、あそこにかけられた呪いのね、ようなものが。薄まるのか、はたまた濃くなるのか」
「何にせよ、悪意を感じるなあ」
「そうですね。まあ……ちょっとね、これ以上の考察は流石に蛇足が過ぎると思いますので。いったい真相は何なのか、というところはね、皆様のご想像にお任せします」
「そうだね」
「それでは今日はこの辺で。ヨモツヒラサカchのカズヤと」
「タクミでした」
(映像終了)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます