五月
第2話
『五月』
草が背丈まで伸びているよ。
みんな僕がいることを知らないんだ。
ある日、大人が何人か草刈りに来たよ。その中に酷い人がいて僕に石を投げるよ。
これから人には近づかない様にしよう。
草が短くなって御陵を通る人がパンを投げてくれるんだ。
焼そばや魚の骨も置いてくれるけど『僕、食べたことの無いものは食べられないよ。』
一番好きなのはパンとゆで卵ゆで卵は小さな女の子とお婆さんが持って来てくれるんだ。
暗くなって林の中に隠れていても、すぐ走っていくんだよ。
最近の僕の楽しみは人がいない時、御陵前の家を見に行くことだよ。
家を壊して建てかえているんだ。近くで見ていると工事の人が休み時間に金網ごしに僕の相手をしてくれるんだ。
雨の降る日も、ずぶ濡れになってもずっと見ているんだ。
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