第30話 ワッパーセット◆side雄郷◆

「おはよう、千桜莉ちおりさん」


 今日もいい天気みたいだな。

 寝室の窓が東向きってどうかと思ったけど……首を回しただけで天気が分かるから悪くない。


 布団を干すか。掃き出し窓だから便利だ。



 うん、空が強い青……夏だな。

 山も萌黄もえぎから少し落ち着いた緑に変わってきた。

 


 …………


 今朝の朝食はご飯、明太チーズオムレツ、カリカリベーコン、ニンジンとキャベツのスープ、ピクルス。


「いただきます」


 うん、オムレツ上手にできた。

 ベーコンは火を通し過ぎたかな~


 千桜莉さんは実家だっていってたけど、料理とか作ってるのかな?

 昨日のお弁当は千桜莉さんが作ったって言ってた。美味しかったな。


「ごちそうさま」



 さて今日は……


 洗濯は風乾燥まで終わってるから干すだけ。

 お風呂も洗った。というかスプレーして流すだけだからラクチン。



 食材は、潮来いたこで買った茨城ローズポークがまだまだあるし、帰りにスーパーで買ったから大丈夫。



 あ、防虫剤が残り僅かだった。衣装ケースももうちょっとあったほうがいいからホームセンターに行こうかな。



 昨日撮った写真を整理しなきゃ。


 …………


 そろそろいい時刻だ。ホームセンターに行こう。


 どうしよう。誘っちゃていいものかな……


 ♪

【Chiori】今電話いい?


 絶妙だよ。


【yugo】いいよ


 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


「おはよう」

『おはよう。何してるんですか?』

「家事を一通り終えたところ。衣装ケースを買いに行こうかと」

『私も今回服が増えたんで、衣装ケースが欲しいんです』

「実は誘おうかどうか迷ってたところで」

『フフフ、ドンドン誘って』


「はい、昨日のコンビニで待ち合わせでね」

『うん、着替えてお化粧するんで少しかかるけどいい?』

「じゃあ燃料入れていくよ」

『うん、じゃあ後で』

「おう、後程」



 行きつけのGSで燃料を入れて、待ち合わせのコンビニに向かう。

 コンビニで着いてエンジンを切った時に、窓ガラスをノックされた。


雄郷ゆうごうさん、おはよう』

「千桜莉さん、おはよう。ひょっとして待たせちゃった?」

『ううん、あそこの角を曲がったら、ちょうど車が入ってくるのが見えた』

「じゃあ、行こうか」

『はい……隣町に大型のホームセンターがオープンしたそうなので、そちらに行ってみませんか?』

「ああ、あそこ。行ってみたいとは思ってたんけど、なんとなく行く機会がなくて」


 …………


『いい買い物できましたね』

「全くだ」


『そろそろお昼ですね。何か食べませんか?』

「おうちに連絡を入れなくていいんですか? 例えば昼食を作って待ってるとか」

『今日、家族はみんな外出してて、自分で作って食べる予定だったんです』

「では大丈夫なんですよね……えーと、この近辺だと……」

『お店を選ばなくてもいいですよ。フードコートにハンバーガーショップがあるんですがどうでしょう? 私あのチェーンのハンバーガーが好きなんです』


 お店を選んでたつもりはなかったんだけど。


「え……えーと、無意識に選ばなきゃいけないと思ってたのかもかもしれませんね」

『そんなに気負わなくていいですよ』

「なんですか、それ?」

『フフフ』


 …………


『メキシカンアボカドワッパーセットとわたくしのプレミアムショコラください』

「俺は……ダブルワッパーチーズセットください」

『メキシカンアボカドワッパーセット、わたくしのプレミアムショコラ、ダブルワッパーチーズセットですね』

『「はい」』

『14番でお呼びします』


「ここもだけど、ホームセンター全体が流行ってるね」

『新しいってこともあるし、大きくて品ぞろえが豊富なんで』

「目移りしません?」

『フフ、そうです。余計なものを買っちゃったり』


『ところで昨日、疲れませんでした?』

「1時間強なのでそんなには疲れてないですよ。車で帰省することもあって、これが4時間強なんですがそっちはさすがに」

『電車だとどうなんですか?』

大宮おおみやから新幹線利用ですね。さすがの新幹線で3時間半ってところです」

『やっぱりかかるんだ』

「でも、その気になれば朝思い立って日帰りっていうのも不可能じゃないですよ」

『フットワーク軽いですね』


 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪


『おっと、呼び出しだ』

「取りに行きましょう」


 …………


「美味かった」

『でしょー』


「昨日撮った写真なんですけど、引き渡しはどうしましょう? クラウドサービス、USBメモリ、印刷してアルバムぐらいかな」

『雄郷さんは、どれがいいですか』

「一番コストがかからないのはクラウドサービスですかね」

『そりゃそうですね。じゃ。それでいきましょう。私の撮った写真も送りますね』


 …………


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ただいまっ!」


 夕食には少し早いし、昨日の写真の整理をしよう。


 スマホからパソコンにデータを移して……


 だけど、ファイルを開くたび、撮った時の情景が、千桜莉さんの声が頭の中に浮かんできて、ずいぶん手間がかかってしまった。


 調整を終えてスライドショーで流してみると、また、撮った時の情景が、千桜莉さんの声が頭の中に浮かんで……いかんいかん何度目だ!


 よし、クラウドサービスに上げてっと、一応USBメモリーも作っておこう。



 夕食は、朝作ったスープと、菜都美なつみちゃんに好評だったハンバーグ、カット野菜を使ったサラダ、ピクルスにしよう。あ、お風呂も準備しないと。


 …………


 お、千桜莉さんが撮った写真がクラウドサービスにアップされてる。

 おお、いい写真。


 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


『写真ありがとう』

「こっちこそありがとう。いい写真だね」

『そう言ってもらえると嬉しいです』


「自室の机に印刷して飾ってもいいですか」

『会社の机はさすがに恥ずかしいですけど、自宅の机ならいいですよ。私もそうします』


『思案橋の上で撮った写真がいいかな』

「うん、上手に逆光補正できた」

『これを印刷しましょう』

「俺もそうするよ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ご訪問ありがとうございます。


 スパイシーワッパーセットも美味しいですよ。




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