傘の中

 雲が流れて雨が上がる。

 横たわる曇天は明かりを纏い、薄雲の先に太陽を視認できた。

 一人、一人と。

 道行く人々が傘を閉じる。隔たりを無くす。

 残った私はそれでも閉じず、ひと際大きな傘を目立たせる。

 まだ怖いの。まだ怖いから。

 もう少しだけ。もうちょっとだけ。

 一人の世界に浸らせて。

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