第30話
翌朝。
確か、今日は金曜日だったはずだ。
曜日の感覚が随分とズレてしまっているけど、多分合ってる。
知らない天井。
周囲を見渡すと白とピンクのコントラストが目に入る。
ああ、緋音の部屋だ。
俺は、隣を見る。
そこには、双眸を向ける緋音がいた。
「えっと、おはよう」
「おはよう、慎くん」
布団からは、彼女の真っ白な肌がちらちらと見える。
昨日、致したまま寝てしまったらしくお互いに裸のようだ。
「もぅ、慎くん。昨日あんなにしたのに朝からこんな」
緋音は、俺の朝の生理現象に気付いた。
しょうがないじゃないか。
「緋音が可愛いからしょうがないじゃないか」
「え!…ありがとう」
少し唇を尖ら、頬を赤らめる緋音。
俺は、思わず抱き締めてしまった。
緋音は、ホントに可愛い。
「慎くんの心臓の音凄いよ」
それは自分でもわかっている。
◇
私は、隣で寝息を立てる慎くんの顔を覗いていた。
寝てるときは、凄く可愛い。
確かに、同じだけの年月を生きているから皺が増えていたりするけど目を瞑っている表情は高校時代と変わらない。
昨日の慎くんは、凄かった。
最初は、凄く優しくて初めてだった私を気遣ってくれた。
でも、痛みが快感に変わる頃。
慎くんは、とっても獣のように荒々しく…。
それを思い出すと
初恋の人に初めてをいっぱい貰ってもらえて私は嬉しい。
あんなにいっぱい貰っちゃったからもしかしたらデキてしまったかもしれないけど。
後悔なんてしない。
だって、大好きな人との結晶なら嬉しいから。
そんなことを考えていると慎くんが目を覚ました。
「えっと、おはよう」
キョトンとした顔をして、慎くんが挨拶をしてくる。
「おはよう、慎くん」
すかさず、私も挨拶を返した。
私は、自身が下着すらつけていないことに今更になって気付いた。
でも、もういっぱい裸は見られてるし…恥ずかしいけど慎くんならいいや。
慎くんの視線が、私の胸元を凝視していた。
それは、恥ずかしい。
彼の顔から視線を逸らすと布団のふくらみに気付いた。
「もぅ、慎くん。昨日あんなにしたのに朝からこんな」
慎くん、私の胸で興奮しちゃったのかな。
小さくもなく、大きくもない。
一応D…昨日は、慎くんの大きな手で愛撫されて気持ちよかったなぁ。
「緋音が可愛いからしょうがないじゃないか」
「え!…ありがとう」
もう、狡いよ。
嬉しいけど。
そう思っていると、慎くんが私を抱き締めてきた。
彼の胸に私の顔が埋もれる。
慎くんの心臓が、凄く早く鼓動している。
「慎くんの心臓の音凄いよ」
でも、きっと私の心臓も同じ音を鳴らしていると思う。
えへへ、幸せだな。
私は、暫しこの幸福に微睡むのだった。
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