第67話

納得しないのはきっと、スプレが私と仲が良いからなんだと思う。



だけど。



「陛下とシュガー様が仲睦まじくしていらっしゃること、私の耳にも届いているもの。」




黙り込んだスプレには悪いけれど、これは私が望んでいた展開。



ビターとシュガーは元々幼馴染み。そして、私がビターと結婚するまで彼らは、男女の関係だった。



まぁ、結婚後も分かったもんじゃないけど。




それはそうよね。10も年下の私なんかより、幼馴染みで2個しか違わないシュガーの方が女としていいに決まってる。




そして今、ビターは25歳、シュガーは24歳。私はまだ15歳。



うーん、前世で言えば大人に子供は敵わない。そんなところだろうか?





「ほら、そんな悲しそうな顔をしないで。クッキーまだ食べる?」


「要らない。」



「そ?」




なんだかこうしてスプレを見ていると、嬉しくて笑えてくる。



だって私以上に私のことを気にかけてくれる。そんな存在がいるってなんだかとても、幸せな気がするから。




差し出していたクッキーを元に戻そうとしたら、突然手をスプレに掴まれた。



それだけでちょっとドキッとするんだから、私の心は心底単純にできているんだと思う。



「もし、俺が。」


「ん?」



なにかを呟いて顔を上げたスプレの目は、ギクリとするほど強い意思を持って私に訴えかけてくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る