プロローグ
第1話
◆
「まま、このひとだぁれ?」
無垢な瞳が、あたしを掴む。
その小さな手のひらの中にある褪せたポロライドを受け取って、あの頃のあたしの隣にいつも居る、あなたを親指でなぞった。
写真の中で眠るあなたは、いつもどんな時だって、一瞬であたしの時計を巻き戻す。
「この人はね」
不思議そうに覗き込むその顔に優しく微笑むと、半月状に形を変える無垢な瞳。
「ママの、大切な人だよ」
十七歳のあたしと二十歳のあなたは、姿かたちを変えることなく、見飽きた紙切れの中で寄り添っては眠る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます