第61話
「では最後に伺います。ずばり、雪花とは。」
インタビュアーさんからの質問に、雀は少し考えて笑った。
私をまっすぐに見て。
「ただの、恋する男です。」
その視線を追うように、部屋中の視線が私に集まる。それが気にならないとは言わないけど、なぜか平気なのは。
雀から視線を逸らしちゃいけないと、思ったからだ。
きっと、シンプルな話なんだと思う。
不思議な予知夢を見る男がいた。男はその夢に出てくる雪女に恋をした。雪女を想い続けるあまり、全てを捧げた男は、こうして雪女を手に入れた。
その男は雀で、雪女は私だった。
物語のように、決まった恋物語。そこから外れることなく私たちが今一緒にいるのは、きっと夢が決めた運命なんだろう。
雀は、まだ予知夢を見ている。疲れ果てた様子で朝起きる時もある。
できるなら、その苦しみを私も半分背負ってあげたい。それができないどころか、現実で迷惑をかけている自分が嫌で仕方がないけど……
私は、雀をまっすぐに想い続ければいい。それが、雀の望むこと。
それは私には簡単なことだから。
だからいつかは、雀を支えられる大人の女性になりたい。
笑顔がこぼれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます